映画【ザ・クリエイター/創造者】ネタバレ・あらすじ・感想レビュー!エンドロール音楽の虫の音のメッセージ?

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ギャレス・エドワーズ監督最新作『ザ・クリエイター/創造者』を観ました。人類と進化したAIとの戦いを背景にした近未来SF大作からはスピリチュアルな世界観も感じました。ネタバレありのあらすじ考察です。

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ザ・クリエイター/創造者のあらすじ・原作(ネタバレなし)

映画『ザ・クリエイター/創造者(そうぞうしゃ)』(原題: The Creator)は、ギャレス・エドワーズ監督のオリジナル原案・脚本です。

現在よりももっと発達したAIが人間のように働き共生し、人間を守り、人間の生活を豊かにしてくれていた遠くない未来・・・2075年、AIが人類に牙をむき核を爆発させロサンゼルスが壊滅。多くの犠牲者が出た。米国と西側諸国はAI根絶に乗り出す一方で、ニューアジアはAIを受け入れていた。そのため、米国と西側諸国によるAI撲滅戦争が始まった。

人類とAIとの戦争は10年続き、人類はAIを一掃しようと「ノマド」と呼ばれる飛行基地を建設。AIが恐るべき兵器を開発しようとしていると、AIの生息するラボを発見しレーダーで攻撃します。戦争が激化する中で、元特殊部隊のジョシュアは人類を滅ぼす兵器を創り出した「クリエイター」の暗殺を命じられるが、クリエイターの潜伏先と思われる場所にいたのは超進化型AIの少女。ジョシュアは、ある理由から、少女を守りぬくと誓い、衝撃の真実を知ることになる。


ギャレス・エドワーズ監督は、このあらすじを幼い息子と放浪する刺客の復讐劇「子連れ狼」から着想を得たのだという。「大五郎!」「ちゃーん!」のあの時代劇!なるほど・・・。

AIのことを「人間じゃない、何も感じない機械だ」。最初はそんなふうに言っていたジョシュアは敵対関係にあるはずのAIと行動を共にするうちに心を通わせていく、物語が進むうちにジョシュアと少女の関係性も明かになっていく。

ザ・クリエイター/創造者 キャスト

ジョン・デヴィッド・ワシントン>元特殊部隊員 ジョシュア
マンデリン・ユナ・ヴォイルズ>AIの少女 アルフィー
ジェンマ・チャン>ジョシュアの妻 マヤ
アリソン・ジャネイ>US陸軍大佐 ハウエル
渡辺謙 >ヒューマノイド ハルン

特に注目されているのが渡辺謙さんが演じる 西側諸国からAIたちを守ろうとする反乱軍のリーダー役ハルン。ギャレス・エドワーズ監督が映画を新鮮なものにしたいので、同じ俳優の起用は避けていたという中、「GODZILLAゴジラ」以来のエドワーズ作品への出演をしている。渡辺謙さんが時たま日本語でセリフを言うのだが、監督は「表情でどんなことを言っているのかわかる。ケンほどこの役をうまくこなせる人はいない」と絶賛してるそう。スクリーンの中でも圧倒的な存在感があった。

ニューアジアという舞台がタイ、インドネシア、ベトナム、ネパール、カンボジア、日本などの文化や風景が入り混じった架空の世界。映画のテロップや看板などに日本語の表記が現れるたびに、ちょっと不思議な感覚になる。

ザ・クリエイター/創造者の評価・考察(ネタバレあり)

日本では10月20日に公開され、「今年の最高のSF映画」など高い評価を得ています。

高度なAIを設計した正体不明の人物をアメリカ軍は抹殺しようとしている。その開発者は人工知能から「ニルマタ(ネパール語で創造者)」と呼ばれ神として崇拝されている。ロサンゼルスの核爆発で片足を失いAIを憎しむジョシュアは、ニルマタの正体を探る任務でニューアジアに潜入しマヤに近づく。

ジョシュアはマヤと愛し合うようになりマヤは妊娠する。ある日、US軍による突然の攻撃が行われ、マヤはジョシュアの裏切りを知り爆撃に巻き込まれ死んでしまう。以来、ジョシュアは軍を離れ無気力な日々を送っていたが、死んだと思われていたマヤの生存を示される。ジョシュアを、ニルマタに造られた新兵器を破壊する任務に採用したUS陸軍大佐のハウエルもまた「愛してるとAIに言われて、それを信じた息子がAIに裏切られて殺された」とAIに対して深い憎しみを持っている。

ジョシュアはマヤに会うために暗殺部隊の一員として再びニューアジアへ行く。ニューアジアでは人間とAIが共存し、互いに支え合いながら生活している。「彼らは優しいのになぜ?」とニューアジアの人たちはAIの潜む場所を守ろうとするが発見されてしまう。


そこにいたのは子どものAI。マヤの刺青の模様をその少女が描いてみせたので、ジョシュアはマヤを探すために少女にアルフィーと名付け連れ出す。アルフィーを守り、行動をともにするうちに二人が心を通わせ、固い絆で結ばれていく様子にこの映画は、隔たりを超えた「愛」がテーマだと思うのですが、映画では、ハウエル大佐が死んだ人間の脳の内容を機械でダウンロードし、他の人体やAIの脳にアップロードして起動させ情報を得るようなシーンがありました。

死んだと思われていたマヤも昏睡状態のまま眠り続けていて、マヤを守っている僧侶のAIが「肉体が死ねば生まれ変われるが、AIは人を殺せない」といい、ジョシュアはマヤの生命維持装置を切り安楽死させるシーンがある。その時に、マヤの意識や脳内の情報がコピーされたことで、最後にはジョシュアはマヤと再会することができるのだが・・・

アルフィーもマヤの胎児をモデルとして造られたAIであり、ジョシュアの子どもだということが判明します。

ということは、意識を持ったAIは人間となにが違うのか?そもそも人間だって、肉体は単なる「魂」の器じゃないのかな? その「人間」を「人間たらしめる」ものは「その人の意識」とか「魂」なのであれば、人間の意識のコピーが存在すれば、模造人間を使って同じ意識を持った人間が創り出せるのでは?ってことは、人間は生き続けられる?生まれ変われるってそういう意味?と映画を観ながらそんなことを考えていました。

いちばん衝撃的だったのが、ハルンが「ロサンゼルスでの爆発は人間のコーディングミスによるものであり、アメリカ政府がAIに不当に責任を負わせただけだ」と説明したシーン。AIは人類と平和に共存したいと願っているのだという。映画を観る前は、AI vs 人類の戦いの中で、人間が叡智や賢さに目覚め、世界を平和に導くのかと思って期待していましたが、全然違った・・・むしろ、人間の愚かさやおぞましさに嫌気がさし、人類はAIに滅亡させられて然るべきだと思ったほどです。

個人的な評価としては、感動だけではなく深く考えさせられる部分があって、とても良かった。

エンドロールの音楽

ラストのシーンは、ノマドを破壊し戦争を終結させるためにジョシュアとアルフィーが国際宇宙港に向かい月面シャトルに乗り込み、アルフィの力を使いジョシュアが時限爆弾を設置し、ノマドを爆発させアルフィだけが地上に戻ることができ、人々はノマドの破壊を喜びアルフィの笑顔で終わるのですが、その後の世界が観たいと思い、エンドロールの後に何かを期待し席を立たずにいました。

映像では特に何もなかったのですが、エンドロールの音楽の中で気になったのが「虫の声」。ちょうど外国人には騒音に聞こえる虫の音が、メロディーとして認識できるのが地球上で日本人とポリネシア人の2民族だけであるという話を聞いたばかりだったので驚きました。なぜ、このエンディングのメロディーに虫の音を使ったのでしょうか?

「日本人に虫の音が聞こえなくなった時、地球の破壊が始まる」とこの本『今日、誰のために生きる?』には書かれていますが、ギャレスエドワーズ監督が日本文化の魅力を表現し、その美学を取り入れ未来の世界を描き「この作品は日本へのラブレター」と話したという『ザ・クリエイター創造者』からも、世界が抱える問題を解決する何かが日本人に求められているのかもしれないなと思わずにはいられませんでした。

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