映画【ホテルローヤル】あらすじ・キャスト・解説レビュー!直木賞作家桜木紫乃原作 [北海道/札幌市・釧路市]

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北海道江別市在住の作家 桜木紫乃さんの直木賞受賞作「ホテルローヤル」。北海道釧路に実在した桜木紫乃さんの実家で2012年まで営業していたラブホテルが舞台。小説は7編からなる連作で、ホテルを訪れる男女・経営者家族・従業員、出入りの業者、それぞれの人生模様が描かれています。映画化にあたり、小説を読んだ方は「どの部分が切り取られているのか?」が気になるのではないでしょうか?

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映画「ホテルローヤル」あらすじ・ストーリー

ホテルローヤル (集英社文庫) [ 桜木紫乃 ]は累計発行部数100万部を超える直木賞受賞作。映画では、北海道の釧路湿原を背に立つラブホテル「ホテルローヤル」の一人娘雅代(波瑠)の高校生から三十歳ぐらいまでの十数年と現代と過去を交錯させ映像化しています。

シャッターチャンス

すでに廃業し、廃墟となっている「ホテルローヤル」にやってくるカップル。カメラにハマり始めた男が、雑誌に写真を投稿するため恋人のヌードの撮影をはじめる。

すぐにストーリーは、過去にタイムスリップし雅代(波瑠)が美大受験に失敗したところから進んでいく。雅代は、アダルトグッズ会社の営業「えっち屋さん」こと宮川(松山ケンイチ)へ密かに片思いしていた。

かつては、賑わいもあったであろうラブホテルが、すでに廃墟になっている場面から始まるので切なさを感じます。

星を見ていた

ホテルの仕事を手伝う雅代とホテルローヤルの清掃員たちは、仕事の合間にボイラー室で休憩する。ミコちゃん(余貴美子)の夫は、足が悪くて働きに出ていない。札幌で左官職人をしているという息子からの手紙に3万円が同封されていたと嬉しそうなミコちゃん。しかし、その息子が暴力団抗争の事件で逮捕されたとのニュースがホテルの事務室のテレビから流れる。

「うちは、こういうことで辞めてくれっていうような職場じゃない」と声をかける雅代の母・るり子(夏川結衣)。パート仲間のワカコ(原扶貴子)にも「明日もちゃんときてよね」と言われ頷くミコだったが、自宅への帰り道、フラフラと山の中に入っていってしまう。

「ミコがまだ帰って来ない」と夫の正太郎がホテルローヤルに駆け込む。みんなで森の中に入りミコを探す。ミコは無事に見つかり、変わらずホテルローヤルで働き続ける。正太郎もまた漁港で働き出す。

・・・ぶっきらぼうな雅代の父・大吉(安田顕)。妻や娘への愛情はあるのだろうけど、気持ちが伝わらない。るり子は、ホテルに出入りする酒屋の青年(稲葉友)と、ある日駆け落ちし出て行ってしまう。

バブルバス

るり子が出て行ってしまった後、雅代はおかみさんとして本格的に家業を継ぎ、淡々とホテルの仕事をこなす・・・

墓参りを頼んだ住職にすっぽかされ浮いたお布施代5000円を使って中年夫婦が訪れる。パートと介護と子どもたちの世話で疲れきっていた妻は、バブルバスの中で涙を流す。

新婚当時の気持ちを取り戻したような夫婦。「またパートで5000円貯まったら、お父さんをホテルに誘う」という妻が可愛らしかったのと、他のシーンでこの夫婦がまたホテルローヤルに居たのを見つけた時には「よかったね」とつい嬉しくなりました。

せんせぇ

高校教師(岡山天音)と教え子のまりあ(伊藤沙莉)がホテルローヤルにやって来る。まりあの母は男と駆け落ちし、父も多額の借金家を飛び出してしまい、両親に捨てられ「帰るところがない」と言う。

教師も妻が18歳の頃から、上司の校長と不倫を続けていたと知り「自分は要らない人間だった」と言う。帰るところがない二人は、ホテルローヤルで心中してしまう。

心中事件の取材にホテルローヤルへマスコミが押しかける。戸惑う雅代の元へ、えっち屋さん(松山ケンイチ)が駆けつける。この事件をきっかけに大吉も倒れてしまい、ホテルも廃業に追い込まれることになる。

ギフト

ホテルを閉じることになった雅代。後片付けを手伝うえっち屋さん。雅代は高校生の頃からずっと片思いしていたことを打ち明け、「これを使って遊ぼう」とお願いする。

最後、全てを片付けてホテルに鍵をかけ、後にする雅代。真っ青な空の下、湿原を見下ろす高台にあるホテルから国道へ車を走らせる。

昔、まだ活気があった頃の釧路の街の回想シーンとともにホテルローヤルを開業する大吉の物語が綴られる。自分が好きな釧路湿原の景色が見下ろせる場所にラブホテルを建てたいと夢見る大吉。団子屋で働くるり子は大吉の愛人だった。

そんなるり子が妊娠してしまう。つわりに苦しむるり子のために、大吉はデパートの果物売り場で豪華な木箱に入ったみかんを買う。みかんに貼られたシールには「ローヤルみかん」と書かれていた。大吉は家族を捨て、るり子と結婚しラブホテルを経営することを決心する。

ホテルローヤルの客室にも事務所にも必ずみかんがあった理由に、思いがこみ上がります。

ホテルローヤル主題歌『白いページの中に』

雅代が車で渡る幣舞橋のシーンで流れる主題歌「白いページの中に」。この楽曲は、1978年発売の柴田まゆみの名曲のカバー。大吉の若かりし頃のシーンの雰囲気と、歌詞もとてもよくマッチしていました。

いつの間にか私は 愛の行方さえも
見失っていた事に 気付きもしないで
振り向けば やすらぎがあって
見守る瞳があった事を
サヨナラの時の中で やっと気付くなんて

映画の内容は決して明るくはなく、ラブホテルを舞台にしているだけに世にはばかるような後ろめたさがあるのですが、誰もが弱くて不器用ながらも生きてる、と見終わって不思議と気持ちに「優しさ」や「愛情」が残ります。登場人物のストーリーや物語をもっと深めたくなり、小説も読みたくなりました。

ホテルローヤル 映画 キャスト

https://www.tvlife.jp/movie/300123

ホテルローヤルのひとり娘・雅代:波瑠
雅代の父・田中大吉:安田顕
雅代の母・るり子:夏川結衣

アダルトグッズ会社の営業マン 宮川聡史(えっち屋):松山ケンイチ

るり子と駆け落ちする坂上朝人:稲葉友

ホテルのパートタイム従業員ミコちゃん:余貴美子
ホテルのパートタイム従業員ワカコ:原扶貴子

廃墟のホテルで写真を撮影するカップル:冨手麻妙・丞威

ホテルローヤルを訪れる中年夫婦:正名僕蔵・内田慈

親に見捨てられた女子高生 :伊藤沙莉
妻の不倫を知った高校教師:岡山天音

映画作品・公開情報

タイトル:『ホテルローヤル』

監督:武 正晴
脚本:清水友佳子
原作:桜木紫乃「ホテルローヤル」(集英社文庫刊)
音楽:富貴晴美
主題歌:Leola(レオラ)「白いページの中に」(Sony Music Labels Inc.)

公式サイト:https://www.phantom-film.com/hotelroyal/
公式Twitter:@hotelroyalmovie

2020年11月13日(金)より公開中


ホテルローヤル [ 波瑠 ]

桜木紫乃(さくらぎ・しの)プロフィール

釧路市生まれ。中学生の頃、原田康子の「挽歌」を読んだことをきっかけに、作家を志す。
2002年「雪虫」でオール讀物新人賞受賞。
2013年「ホテルローヤル」で第149回直木賞受賞。
他にも代表作は「ラブレス」「裸の華」「氷の轍」「砂上」「ふたりぐらし」「緋の河」など多数。
現在は、北海道江別市在住。

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