映画【竜とそばかすの姫】2回観た!感想レビューログ「面白い」「面白くない」評価が分かれるのはなぜ?※ネタバレあり

スポンサーリンク

2021年7月16日に公開された細田守監督の最新作「竜とそばかすの姫」を観てきました!公開から10日間で、興行収入24億円を突破、3週連続の首位を獲得し、200万人以上を動員する大ヒットとなっていますが、ネット上では賛否両論の評価があります。「面白くない」「つまらない」という意見もありますが、自分は最高に感動して、先日も2回目の映画館観賞をしてきました。ネタバレもありの感想レビューです。

スポンサーリンク

竜とそばかすの姫 あらすじ(ネタバレなし)

高知県の田舎町に父親と暮らす女子高生の鈴(すず)は、幼い頃に母親が増水した川に取り残された少女を助けるために川へ飛び込み死亡するという事故で、強いトラウマを抱えています。

鈴は親友のヒロちゃんに勧められ、全世界で50億人以上が集うインターネット空間の仮想世界「U(ユー)」にベル(Belle)というアバターで参加することにします。

「もうひとつの現実」と言われるU(ユー)の世界では、自身の分身となるアバター「As(アズ)」を通じて誰もがUを楽しむことができます。母を亡くして以来、歌うことができなくなっていた鈴も、Uでは歌うことができました。

鈴は、Uで自作の歌を披露し、ずっと秘めてきた比類なき歌声で、瞬く間に注目される歌姫ベルとなり、世界中の人気者になっていきました。

数億のAsが集うベルの大規模コンサートの日。突如、「竜」と呼ばれ恐れられている謎の存在がベルの前に現れ、乱暴な竜によりコンサートは滅茶苦茶になってしまいます。ベルは、竜の抱える大きな傷の秘密を知りたいと竜に近づこうとします。一方、竜もベルの優しい歌声に少しづつ心を開いていく・・・・

やがて、U(ユー)の秩序をみ出すものとして、正義を名乗るAsたちが自警団組織「ジャスティス」として、竜の正体探し「アンンベイル」を始めます。U(ユー)と現実世界の両方で誹謗中傷が溢れる中、ベルは、竜を探し出して竜の心を救いたいと願います。

超巨大仮想空間「U(ユー)」

 

この投稿をInstagramで見る

 

Belle(@uworld_belle)がシェアした投稿

仮想現実(VR)空間の触感を体感できる「ボディーシェアリング」という技術が、現実的にも開発されているそうです。細田守監督が、「現実にも起こりうることをフィクションの世界で先取りして、僕らのインターネット技術が加速するとどのようなことが起こるのか、いろんな調査をした上で描いています」という『竜とそばかすの姫』。

同じ細田守作品の『サマーウォーズ』では「OZ(オズ)」といインターネット上の仮想世界が舞台でした。『サマーウォーズ』が公開された12年前に描かれたインターネットの世界は、今では違和感なく現実のものに感じます。

『竜とそばかすの姫』の仮想世界U(ユー)の仮想人格Asが、本人をスキャンした生体情報から自動生成され、さらに、隠されたもう一人の自分を明らかにするというのも、今後、現実的にあり得る世界になると感じました。

『U』はもうひとつの現実
「As」はもうひとりのあなた
現実はやり直せない
でも『U』ならやり直せる

「さあ、もうひとりのあなたを生きよう」とUからのメッセージに誘われ、現実とネット世界が交錯する物語が始まります。

映画の中でもUの治安を守ると自称する自警団組織「ジャスティス」が登場し、そのリーダーの「ジャスティン」が、竜を追う事になりますが、現実でもSNSの世界がリアルの世界に多大な影響を与え、個人を追い詰める事件ががありましたよね。

この映画を通じて、「ネットも実在もどっちの自分も本物だ」というメッセージを受け取り、リアルのつながりが無い人達に対して、SNSの世界でなりたい自分を演じて接したりする事はあるので、 良い意味でも悪い意味でも、とても考えさせられました。

ところで、『サマーウォーズ』のOZに、クジラの姿をした仮想世界の守り主(?)が登場するシーンがありましたが、『竜とそばかすの姫』にもクジラが登場します。クジラは『バケモノの子』でも登場しますが、細田守監督はクジラが好きなのでしょうか? クジラにはどういう意味が込められているのか気になります。

感想:ネタバレあり※注意

率直な感想は、映像美と音楽がめちゃくちゃ良かった!竜に向けてベルが歌うシーンには、鳥肌が立って涙が出た〜 この感動は、ぜったいスクリーンじゃなきゃ味わえない〜〜 素晴らしかった!!!です。

ストーリーにイマイチわかりにくいところがあったものの、原作小説を途中まで読んでいた状態で映画を観たので、小説では歌詞のみのベルの歌が、曲として表現されてるのが本当に最高でした。実際にバーチャル世界に入り込んだような感じがするので、映画館で観るのはおすすめです。

※以下、ネタバレあります※

小説は、竜の正体がわかるまでは読んでいなかったので、映画を観て竜の正体がわかった時には予想と違って思いがけない人物だったので、驚くととも胸が締め付けられるようでした。

竜と呼ばれるUに棲む、醜いモンスター型のAsは中学2年生の男の子「恵くん」でした。彼は母親を亡くし、父親と弟の3人暮らしをしています。恵くんの父親は、威圧的な言葉や暴力で虐待するので、父親から弟の知くんを守るために、自分を犠牲にして耐える日常を送っています。「助ける」と口だけで言う人達はたくさんいました。でも、誰も父親の虐待から救ってはくれません。

そのため、恵くんは背中に傷を負いながらも弟を守るための強さを持ち、孤独で醜いモンスターのような外見のAs「竜」となっていました。竜の正体を知った鈴は、兄弟を救うために一人で東京へ行くのですが、「鈴をひとりで行かせちゃダメだろ」という意見がネットで見られます。

でも、鈴の行動は、鈴の母親が昔、激流に飛び込んで子どもを救った出来事と重なります。歌姫ベルは、乱暴者で孤独な竜の心を救います。

考察:ネット版『美女と野獣』細田守監督からのメッセージ

『竜とそばかすの姫』は、細田守監督ならではの視点で描かれた現代版『美女と野獣』と言われていますが、野獣が表す孤独や暴力は「竜」だけではないような気がしました。

さて、劇中でもベルに対して賛否両論の意見が飛び交うシーンがあったのですが、実際に『竜とそばかすの姫』を観た人達の間でも、ネット上で「面白い」と絶賛する人や「つまらない」と酷評する人と評価が分かれ賛否両論が巻き起こっていること自体・・・細田監督が意図して映画に込めた私たちへの問いかけなのかなと思いました。

「竜とそばかすの姫」オリジナル・サウンドトラック

Belleが歌う劇中歌「歌よ」「心のそばに」「はなればなれの君へ」の歌詞もストーリーの中で重要な意味があると思います。

自分は、「歌よ」の歌詞が印象深くて、

歌よ 導いて
こんな小さなメロディが
貫いていく世界が見たいの

「音楽」の力をずっと感じながら映画を観ていました。

主人公・すず/ベル役の声優を務めたミュージシャンの中村佳穂さんの曲や歌が収録されているサントラは8/18発売! 待ち遠しいです!!


竜とそばかすの姫 オリジナル・サウンドトラック [ (V.A.) ]

映画『竜とそばかすの姫』の作品情報

【公開】2021年7月16日〜
【企画・制作】スタジオ地図
【監督・脚本・原作】細田守 作品には『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』、アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされた『未来のミライ』などがある

キャスト(声優)

中村佳穂(すず/ベル)
成田凌(しのぶくん(久武忍))
染谷将太(カミシン(千頭慎次郎))
玉城ティナ(ルカちゃん(渡辺瑠果))
幾田りら(ヒロちゃん(別役弘香))
森川智之(ジャスティン)
津田健次郎(イェリネク)
小山茉美(スワン)
宮野真守(ひとかわむい太郎/ぐっとこらえ丸)
森山良子(吉谷さん)
清水ミチコ(喜多さん)
坂本冬美(奥本さん)
岩崎良美(中井さん)
中尾幸世(畑中さん)
佐藤健 (竜)

タイトルとURLをコピーしました