虹のマートの前に立つ木花咲耶姫像。木花咲耶姫(このはなさくやひめ)といえば富士山の浅間神社にお祀りされている女神さまでは?と思い、なぜここに?と不思議だったのでリサーチしました。
虹のマート前 木花咲耶姫像
弘前市民の台所として愛される「虹のマート」の前に突然ある女性の像。何のシンボル?誰なんだろう?と近づいてよく見ると「木花咲耶姫」と書かれ、台座の銘板には鋳造は昭和47年、移設は平成6年とありました。平成6年は虹のマートの区画整理による大改修が行われた時であるとのこと。
木花咲耶姫の像に題す
お城とさくらとりんごのまち
雪に圧されし木ゞ跳ねかえり
今を春べと咲くや木の花
弘前市長 藤森睿
木製の案内板には上記のように書かれています。コノハナサクヤヒメは、木の花(桜の花、あるいは梅の花)の美しさを体現した美しい女神であると言われていますので、
日本一の桜の名所と言われる弘前城があり、
りんごの生産量日本一である弘前市にはぴったりの女神さまだと思いました。
コノハナサクヤヒメはどんな神様?
古事記や日本書紀などでは、木花之佐久夜毘売(古事記)、木花開耶姫(日本書紀)の別名で登場することが多く、山の神である大山津見神(オオヤマツミノカミ)の娘であったころの名は、神阿多都比売(カムアタツヒメ)や神吾田鹿葦津姫(カムアタカアシツヒメ)などと表記されている女神です。
天照大御神(アマテラスオオミカミ)の天孫、瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)がコノハナサクヤヒメに一目惚れし求婚すると、父親の大山祇命(オオヤマツミノカミ)は木花咲耶姫と共に姉の石長比売(イワナガヒメ)も一緒に嫁がせることにしました。桜のように美しいのではなく、桜の方がコノハナサクヤヒメの美貌にあやかったというほどの美しい姫に比べ、イワナガヒメは見た者を恐怖に陥れるほど醜い容姿をしていました。ニニギノミコトは、イワナガヒメを父親のオオヤマツミノカミの元へ送り返してしまいます。岩のように堅く強い生命力を持つイワナガヒメを娶れば、ニニギノミコトはその末代まで永遠の命を手に入れることができたはずでした。人間に寿命ができたのはこの出来事がきっかけだと伝えられていますよね。
さて、美しいコノハナサクヤヒメとだけ結婚したニニギノミコトですが、たった一夜をともに過ごしただけで、コノハナサクヤヒメが身ごもったというので妻の不貞を疑います。そこで、コノハナサクヤヒメは、おなかに宿した子どもがニニギノミコトの子であるという証をみせるため、火を放った産屋でお産をし、燃え盛る炎のなか無事に3人の男の子を産み終えニニギの疑いを晴らしました。
火が勢いよく燃え盛っている時に生まれたのが火照命(ホデリノミコト)、次に産まれたのが火須勢理命(ホスセリノミコト・火が衰えるの意)、最後に火遠理命(ホオリノミコト・火が静まるの意)が生まれ、長男・ホデリノミコトは海幸彦、ホオリノミコトは山幸彦の別名での神話が有名ですよね。
コノハナサクヤヒメは、山の神、火の神でありながら、過酷な状況での出産を無事に成功させたことから、安産や子育ての神様としても祀られています。また御子を育てる際には、お乳のかわりに甘酒を作って飲ませたという神話もあり、農業や酒造繁栄の神様としてのご利益もあるとされ、ご神徳は、 火難除け、安産・子授け、農業、漁業、織物業、酒造業、海上安全・航海安全などです。
コノハナサクヤヒメが祀られている神社
コノハナノサクヤビメを祀る神社は、富士山本宮浅間大社(静岡県)でこちらも桜の名所にもなっています。富士山はもともと山そのものがご神体でしたが、江戸時代にも大噴火を起こしたことで、鎮火のためにコノハナサクヤヒメが祀られたといわれています。浅間神社は全国に1300社以上もあり、コノハナサクヤヒメが主祭神とされ、そこにイワナガヒメが合わせて祀られていることがほとんどです。
浅間神社のほかには、三重県伊勢市の子安神社、伊勢神宮皇大神宮(内宮)所管社、宮崎県の木花神社・高千穂神社、鹿児島県の新田神社、愛媛県今治市の大山祇神社、京都府宇治市の縣神社などがありますが、弘前市内では木花咲耶姫をお祭りする神社を見つけることができませんでした。
また、富士山には木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)、白山には菊理姫(ククリヒメ)など日本の名山には女神を祭っていることが多く、弘前市の名山「岩木山」の神様を調べてみると多都比姫神(タツビヒメノカミ)という宗像三女神の二女と言われる女神が御祭神になっていました。
木花之佐久夜毘売のスピリチュアルパワー
このはなさくやひめは、自らの潔白を証明するため燃え盛る炎の中で出産しました。美しいだけではなく高潔で力強く自己を表現する力を持っています。満開の花が咲く桜の木も、新緑の時、紅葉の時、葉を落として冬を越える姿も美しいのです。自然体の自分に合った良縁をもたらしてくれるパワーがあります。
木花咲耶姫像からも、凛とした力強さを感じました。
木花咲耶姫像場所・アクセス・地図
〒036-8003 青森県弘前市駅前町12−1 虹のマート 正面入口前
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