青森県弘前市品川町にある胸肩神社(むなかたじんじゃ)にお詣りしてきました。「胸」と「肩」の神社では、きっと力強い男の神様が御祭神かと思ったのですが、「宗像三女神」が祀られる水神様としての信仰がある神社でした。豊富な湧水を地元の方が次々と汲みにきていました。このブログでは、胸肩神社の由緒、ご利益、いただいた御朱印についてご紹介しています。
辯天宮 胸肩神社の由緒・由来
【由緒】平安時代の初期、大同2(807)年、坂上田村麻呂が信仰していた辯才天(べんざいてん)を、大野という地に勧請し弁天宮社を建立、手馴れの琵琶を奉納したことに始まると伝わる古い歴史を持つ神社です。
寛文2(1662)年に現在の品川町の土地に移り社殿が奉納されます。「土手一座弁財天神社」または 「弁天宮」と称され、 士族、 町民から崇敬されたといいます。
明治6(1873)年、胸肩神社と改称し春日大神を合祀しますが、今もなお市民からは藩政時代の弁天様の名で親しまれ、辰巳(たつみ)生まれの守護神としても信仰を集めています。
全国にある宗像系神社の1社であり、総本社は福岡県宗像市にある「宗像大社」。「胸肩」と表記するのは津軽の特徴のようで、青森県平川市にある猿賀神社(さるかじんじゃ)の摂社にも「胸肩」の名があります。
御祭神とご利益
御祭神は宗方三女神(むなかたさんじょしん)
市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)
湍津姫命(たぎつひめのみこと)
田心姫命(たぎりひめのみこと)
3姉妹の女神様の総称で、海の神、道の神として強力な霊威を誇る女神様達です。しかしながら、鳥居の扁額に「辯天宮」と刻まれていることや、奉納された祈願絵馬に琵琶を持った弁才天が描かれていることからも、やはり弁天様もこちらにいらっしゃるように感じます。
弁天様は、元来インドの河神です。日本に伝えられ水の神様・農業の神様として水辺、島、池、泉などの場所に祀られため、弁天島や弁天池と名付けられた場所も数多くあります。明治時代に、神仏習合(※神仏習合とは、日本固有の神様と仏教の信仰とが融合すること)され、市杵嶋姫命と弁財天は同視されるようになったそうです。
元来の御祭神は弁天様だったところが、明治時代の神仏分離令の折に、同じく水神として祀られる宗像三女神に変えられていった歴史があるようです。
さて、宗像三女神は、天照大御神(アマテラスオオミカミ)と須佐之男命(スサノオノミコト)が高天原で行った誓約の際に誕生し、天照大御神に「歴代の天皇をお助けすると共に歴代の天皇から篤いお祭りを受けられよ」と直接命令を受けて宗像地方に降臨した特別な神様とされています。
宗像大社の沖津宮、中津宮、辺津宮にそれぞれが鎮座し、航海安全はもちろん、あらゆる交通安全の神様として祀られていますので、
道を守る神様として、海上安全・交通安全・国家安泰のご利益があるほか、弁財天と同一視されることによって、財宝の神、美の神、芸能の神様としての御利益も有名です。
弘前市の繁華街にあり住宅地も近い胸肩神社は、安産、子授け、学問、商売繁盛など様々な祈禱を受け付け、弘前大学も近くにあるので受験をする学生も多く訪れるそうです。初詣や宵宮には大変な賑わいとなるそうです。
弘前胸肩神社の祭祀・宵宮
全国各地の神社の行事に、土地やそこに暮らす人々をお守りしている神様を祀る寺社の大祭がありますが、津軽地域では、宵宮(よみや)呼ばれ、様々な神賑行事を行い、出店が並び多くの参拝者が足を運びます。
特に弘前市は「卍」が市章であるほどお寺や神社が多く、小規模なものから大規模なものまで、およそ70の神社で5~9月まで宵宮が続きます。6月~8月は毎日のようにどこかしらの神社仏閣で開催される「宵宮」は弘前の夏の風物詩。
津軽の短い夏の始まり。(*‘ω‘ *)#宵宮#胸肩神社 pic.twitter.com/stgklNimLC
— ぬまこさん。 (@numako55_) June 30, 2021
胸肩神社の宵宮は、毎年7月1日に例大祭、6月30日に宵宮祭が執行われ、弘前市内で2番目に出店の多い宵宮なのだとか。また、胸肩神社には、女性の神様がお祀りされているので「女性がお参りすると雨が降る」という言い伝えもあるそうです。
<青森県内の宵宮情報>
青森市(青森市ホームページ)
弘前市(弘前観光コンベンション協会ホームページ)
胸肩神社の清水 水の神・龍神・招き蛇
弘前市は「津軽富士」とも呼ばれる岩木山の湧水に恵まれた地域でもあります。中でも特に有名なのが「富田の清水」です。富田の清水(とみたのしつこ)は、弘前市紙漉町にある湧水です。古くから水を利用した紙漉きが盛んに行われた場所でした。
富田の清水からも近い場所に胸肩神社が鎮座しており、神社の境内に弁天様のお水取り場があり、湧水が絶え間なく湧き出ています。※津軽では、湧き水のことを清水(しつこ)と呼ぶようです。
清水の小屋の中には、小さな鳥居と岩木山を模したような神石が置かれ、龍神様、龍蛇神様も祀られていました。
龍神宮の鳥居の脇に、白い「招きへび」が祀られています。弁天様のお使いが白い蛇だそうです。
古来より白い蛇は運を招くといわれており、水を掛け頭をなでると幸運を招き寄せてくれるのだそうです。
龍の口から絶え間なく湧き出ているのは、大和沢川の伏流水。冷たく、まろやかで飲みやすいお水でした。この水を飲めば飲むほど美人になると伝えられているそうです!
さすが、美人の女神と言われる宗方三女神・弁財天様を祀っているだけあって、素晴らしいご神水だと思いました。この名水を汲みに近所の人が次々と来ていましたよ。
胸肩神社 境内の様子・狛犬・御朱印
境内はさほど広くはないのですが、桜の木もあります。
狛犬たちは、穏やかで優しげな雰囲気です。
伏見稲荷神社も祀られています。
岩木山神社の小さな祠もありました。
庚申塔の石碑と並んで猿田彦大神(?)の石碑もありました。
社務所はこちら
お札の種類が多いように思いました。
開運厄除十二支御守が、あまり他では見たことのないと思ったので購入しました。天然石でできていたので、購入後、ご神水で洗い清め持ち帰りました。
御朱印は書き置きのものをいただけました。(御朱印初穂料 300円)
胸肩神社は、芸術・芸能、弁舌、学問の才能、幸運授与、金銀財宝授与の神様である弁財天様と縁が深い神社ということがわかりました。
巳の日に、お金にまつわるお願いをすれば、蛇が使いとなって弁財天に届けてくれると言われ、さらに60日に一度の己巳の日は、弁財天の縁日とのことで、ぜひまた参拝したい神社だなと思いました→→→2022年【己巳の日】はいつ?弁財天の縁日とは?おまじないで金運アップ!
弘前胸肩神社 場所・アクセス・地図
胸肩神社:公式サイトHP
[住所]青森県弘前市品川町89
[駐車場]神社境内内に駐車可
[アクセス]JR弘前駅より徒歩15分
[電話番号]0172-32-8059
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