映画【マチネの終わりに】感想レビューログ★ネタバレあり★ 主演福山雅治・石田ゆり子の切ない大人の恋の結末は?

スポンサーリンク

「たった三度会ったあなたが、誰よりも深く愛した人だった」音楽家とジャーナリストの男女が出会い、惹かれ合う大人のラブストーリー『マチネの終わりに』を映画館で観てきました。この映画、私の周りの30代以上の男性陣に大評判・・・すごく心に響くみたいです。映画のあらすじ(ネタバレあり)、感想とレビューをまとめました。

スポンサーリンク

マチネとは?

タイトル『マチネの終わりに』の「マチネ(matinee)」はフランス語で、朝・午前のこと。主に舞台公演などで、午前〜昼公演を「マチネ」、夕方〜夜公演を「ソワレ」と言うそうです。

主演の福山雅治氏が演じるのは、世界的なクラシックギタリストの蒔野聡史役。劇中では、蒔野のコンサートのシーンが何度もあり、美しい音楽とギターの演奏も印象に残る映画でした。「マチネ」の意味を知ると、蒔野のニューヨークでの昼公演(マチネ)が終わってからの「ラストシーン」がさらに意味深く感じられます。

原作小説 平野啓一郎著「マチネの終わりに」

原作は、平野啓一郎氏の小説『マチネの終わりに』。2015年から2016年にかけ毎日新聞とネット投稿サービス・noteで掲載されていたものが、2016年春に単行本として発売され、累計発行部数が50万部を突破したそうです。

平野啓一郎氏は、『日蝕』という作品で芥川賞を受賞しています。当時は最年少の23歳でした。1975年生れということで、『マチネの終わりに』では同世代の主人公の中年の男女が、どうしようもなく運命の恋にのみこまれていく様子に説得力がありました。自分の全てで恋愛できる10代と、人生経験を積んだ分、背負うもの、守るものがある40代の恋愛は全然違いますよね。

「マチネの終わりに」対談 平野啓一郎×福山雅治「まさか自分の作品で泣くとは」【特別全文公開】|文藝春秋digital にて、「とにかく美しい世界に浸ることができる物語を書きたかった。」と語られていますが、映画では「大人の恋」が切なく本当に美しく描かれていると思いました。しかしながら、原作では、人生の苦悩、世界の分断や対立といった社会問題などのテーマにも鋭く切り込んでいるようです。映画を観た後に「小説も読んでみたい」と思う作品でした。

「マチネの終わりに」に登場する名言

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。
だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。
変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。
過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないんですか?」
(『マチネの終わりに』より引用)

蒔野のセリフとして映画でも語られる「未来が常に過去を変えてる」というテーマが、ずっとストーリーの中に流れていて、重要なキーワードとなっていました。

「花の姿を知らないまま眺めた蕾(つぼみ)は、花を知ってからは、振り返った記憶の中でもう同じ蕾じゃない。」これは、蒔野のマネージャーのセリフですが、このマネージャーの存在がとても衝撃的でした。

キャスト

蒔野聡史(福山雅治):世界的なクラシックギタリスト。デビュー20周年を迎え、自分の音楽を見失い苦悩している。

小峰洋子(石田ゆり子):パリの通信社に勤務するジャーナリスト。婚約者がいる。

リチャード新藤(伊勢谷友介):洋子の婚約者。日系アメリカ人、NYで経済学者として活躍。

三谷早苗(桜井ユキ):蒔野のマネージャー。蒔野に恋心を寄せる。

祖父江誠一(古谷一行):クラシックギター界の巨匠。蒔野の師匠。

中村奏(木南晴夏):祖父江の娘。幼いころから蒔野を知る。

小峰信子(風吹ジュン):洋子の母。世界的に有名な映画監督であるイェルコ・ソリッチの妻。

是永慶子(板谷由夏):蒔野を担当するレコード会社の社員。洋子の友人。

あらすじ

〜冒頭、石田ゆり子演じる小峰洋子が駆け出すシーンから始まります。〜

2014年、世界的なクラシックギタリストの蒔野聡史は、東京での20周年公演の後、是永慶子にコンサートに誘われやってきた小峰洋子と出会います。出会った瞬間、些細な会話で心が通じ合ったような二人。洋子には婚約者がいることを知ってもなお、蒔野は洋子に惹かれますが、洋子はパリに戻り二人は離れ離れになってしまいます。

〜パリではテロ事件が起こり、洋子は取材に明け暮れています。洋子のオフィスビルにて事件の目撃者を装ったテロリストによる爆破テロに洋子自身も巻き込まれ、同僚が亡くなる事態となり、洋子に怪我はありませんでしたが、心に深い傷を負ってしまいます。

爆破テロが起きたというニュースを目にした蒔野は、洋子にメールを送り続けますが、返信はありません。ある日、テレビ電話で洋子からの連絡が入ります。外の工事の音にも怯える洋子に、蒔野は優しく語りかけ、洋子の傷ついた心を癒していきます。

翌年、マドリードでコンサートがあると蒔野は伝え、洋子を食事に誘います。再会を果たした蒔野は、一目で恋に落ちたと告白。「あなたが死んだら自分も死ぬ」と、どんなに離れていても生き続けて欲しいと伝えます。もし、自分と共に歩んでくれるのであれば、コンサートに来てくださいと言って蒔野はマドリードに向かいました。

マドリードのコンサートには洋子の姿はなく、蒔野は途中で演奏を止めてしまいます。しかし、洋子は取材仲間が怪我をしてしまい、行くことができなかったのでした。

洋子からの連絡があり、蒔野はパリの洋子のアパートをたずねます。蒔野は手料理と洋子のための演奏を披露します。洋子は蒔野に「婚約者と別れる」と告げます。

キスシーン

二人のキスシーンがとても素敵でした。

蒔野の帰国後、洋子から蒔野のもとに向かうという連絡があります。洋子の帰国の当日、蒔野の師匠である祖父江が倒れたという電話がマネジャーの早苗から入ります。慌てて病院へ駆けつける蒔野。タクシーの中に携帯を忘れてしまい洋子へ連絡ができません。

早苗は蒔野に代わり携帯を引き取りに行きます。携帯を受け取り戻る途中に、早苗は洋子からの蒔野へのメッセージを目にしてしまいます。早苗は二人の仲を引き裂こうと、蒔野を装い洋子に別れのメッセージを送ります。また、蒔野には、洋子の番号だと偽り自分の携帯の番号を登録した社用の携帯電話を貸し、互いに連絡が取れないようにしてしまいます。二人は事情を誤解したまま、すれ違ってしまうのです。

3年が経ち、洋子はリチャードと復縁して結婚。子どもに恵まれたもののリチャードは、蒔野とのことで洋子が許せず二人は不仲でした。蒔野も早苗と結婚し、一人娘の父となっていました。

マドリードでのコンサート以来、音楽活動を休止していた蒔野ですが、祖父江の追悼アルバムへの参加で復帰することになります。早苗は単身ニューヨークへ渡り、蒔野がデビューコンサートを行った会場にて公演の手配をします。そして、早苗はニューヨークに住む洋子を訪ね、過去のすれ違いの真相を明かし、「コンサートに行ってください」と伝えます。同時に早苗は蒔野にもメールで自分の行ったことを懺悔しました。メールを受け取り真相を知った蒔野は動揺します。

早苗がしてしまったことは、許しがたいことではありますが、ずっと側にいて蒔野を支え、蒔野に恋をしていた早苗の心を思うと、切なくて胸が痛かったです。

洋子は「あなたは幸せ?」と早苗に質問します。「幸せです」と答える早苗に「あなたの幸せを大切にしなさい」と諭します。

ラストシーン

2020年11月。復帰後初の演奏会のためにニューヨークへ向かう蒔野に早苗は、「あなたの好きにして」と自分たちは大丈夫と送り出します。

リチャードとの離婚が成立した洋子は、部屋で蒔野の音楽をCDで聴いています。そして、思い立ったように出かけて行きます。冒頭の洋子が走っている同じシーンが流れ、物語がつながります。

6年ぶりに演奏会の席に洋子の姿を見つけた蒔野は、「マチネが終わったら、セントラルパークを散歩します」とリストにはなかった二人の思い出の曲を奏で始めました。

公演が終わり、セントラルパークで蒔野・洋子が出会い、見つめあうシーンがラストカットです。

その後、二人がどうなったのか? 物語は、観た人それぞれの考えるシナリオが続いていくのだと思うのですが・・・私は、早苗にも幸せであってほしいです。

「マチネの終わりに」音楽・サントラ

作中に登場する曲目を、世界的ギタリストである福田進一さんが演奏したオリジナルサウンドトラックが絶賛発売中とのこと。このCDにも収録されている、洋子に捧げた『幸福の硬貨』という曲がとても素敵で脳内でずっと流れています。

映画作品紹介・グッズ

タイトル マチネの終わりに
製作年 2019年
日本公開日 2019年11月1日
上映時間 124分
ジャンル ラブストーリー
監督 西谷弘
脚本 井上由美子

関連記事:映画

映画【Fukushima50(フクシマフィフティ)】評価感想レビューログ★ 主演佐藤浩市・渡辺謙 3.11東日本大震災福島第1原発事故を描く実話の物語

 

タイトルとURLをコピーしました