札幌のすすきので10年以上にわたり煙の魔法で食材をさらに美味しく食べられる燻製を追求する「燻製のおずsmoked和taste」のオーナーシェフ長井恒輔氏が教える「家庭で簡単燻製講座」に参加してきました!初心者でも簡単に、家庭で手に入る材料や道具を使って作る燻製の方法をご紹介します。試食でいただいた燻製料理がものすごく美味しかったです!!!
燻製の歴史
今からおよそ13000年前の石器時代。まだ人間が狩りをしていた頃、人類が火を使うことを覚え、炎から出る煙によって乾燥された食材が長持ちすることに偶然気がついたことが始まりだそうです。煙のみで乾燥させる燻製調理法は長きにわたり続きました。
そして3000年前の古代ローマ帝国時代、ゲルマン民族が食材を塩づけで長期保存するという方法も利用し、塩づけにする方法と従来の煙で燻す2つの方法が融合して、燻製の原型が生まれました。
2000年程前には、ヨーロッパ地方の人々の間で、肉や魚の臭みを様々なスパイスによって消す調理法が利用されるようになり、煙で燻すだけの方法と塩づけ法、さらにスパイスの発見から、現在のような燻製が作られるようになりました。 燻製は、世界各国の知恵と工夫が詰まった調理法と言えるのだそうです。
長井恒輔氏は、日本料理の世界でずっと仕事をしてきて、2004、2005年2年連続日本料理のコンクールで優秀賞、2012年には国際的な賞も受賞された方。
いよいよ自分の店を持とうという時に、日本で最古の燻製といえば「かつお節」。日本料理は燻製でもっと美味しくできるはずと、燻製専門店をオープンすることを決めたと話してくれました。素晴らしい思いつきのアイデア!!まさに、知恵と工夫が詰まった煙の魔法使いみたいですね。
燻製メニュー おすすめ夜のおつまみ編
さてこの日のメニューは、手羽先・玉子・枝豆・たくあん(いぶりがっこ)。
さらに燻した食材にひと手間かけてのアレンジ料理、ポテトサラダも作ってくれました。
刻んだ燻製卵といぶりがっこを茹でてつぶしたジャガイモに混ぜてマヨネーズで和えたもの。めちゃくちゃ美味しかったです! 長井さん天才♡
家庭で燻製を作って食べる場合は、たいてい保存用というよりも、その日のうちに美味しく食べるためのもの。燻製は燻した後もどんどん煙が染み込んでいくので、1日置いた燻製の食材は、料理に使うと、また違った味わいで楽しむことができるそうです。
使う道具
フライパン 30㎝くらいの深さのあるもの。要らなくなった古いプライパンでもOK
フライパンの蓋 なければ、口径が同じプライパンを蓋がわりに使用してもできる
網 100円ショップで購入可能
サクラチップ アウトドアショップやホームセンターで購入可能
キッチンペーパー 素材の水分を拭いたりする
アルミホイル 魔法のリングに使用
ポリ袋
ボール
タイマー
燻製の種類
燻製のやり方には主に3つの方法があるそうです。
(上級)冷燻法 15〜30℃前後で燻す燻製。手間がかかり、専用の大きな装置が必要。燻製時間は1週間〜3週間。水分がよく飛ぶので保存性が高い。代表例はスモークサーモン。
(中級)温燻法 30~80℃程の温度で燻す燻製。比較的気軽にできる。適度に燻され素材の味もよく出るが、保存性はあまり高くない。燻製時間は1時間〜6時間。ベーコンやソーセージなど。
(初級)熱燻法 80℃以上の熱で燻す方法。もっとも気楽にできる。燻すというより蒸し焼きのような感じ。保存性はほとんどない。燻製時間は30分〜4時間。ラムやスペアリブなどの骨つき肉。アウトドアで釣り上げた魚など。
今回は、初心者でも家庭で簡単にできる熱燻法で燻し、一番難しいと言われる塩漬けと塩抜きの過程をソミュール液で行う方法で実演がありました。
ソミュール液とは
ソミュール液は燻製に使う液体です。塩づけにする工程で食材を液に漬け込み、水分を引き出し、味付けをします。
ソミュール液の材料
水 1ℓ
酒 100cc 料理酒には塩分が含まれているので、日本酒がよい
塩 70g
三温糖 65g コクと香ばしさを引き出すので、三温糖がおすすめ
ローリエ 1g 葉っぱは砕いて入れる
ローズマリー 1g 粉末(パウダー)の方がよい
ホワイトペッパー 2g
スパイスやハーブなどは、お好みのものを用いたり、醤油を少し入れてみたり自己流にアレンジするのもおすすめだそうです。ちなみにおずでは、昆布だしでソミュール液を作っているとのこと。さすがのこだわり。
ソミュール液の作り方
全ての材料を火にかけて、沸騰したら弱火にし、アルコールを飛ばすために30秒程待ち冷やす。煮詰め過ぎに注意する。(道具のボールはソミュール液を冷やす時に利用します)
出来上がったソミュール液は冷蔵庫で2週間くらいは保存可能です。
食材の下ごしらえ
卵は、ゆるめの半熟に茹で、薄皮もきれいにむいて、冷蔵庫で1時間ソミュール液に漬け込む。
枝豆(冷凍)は、2分間湯通しし、ザルにあけて20分放置。水分を飛ばす。冷蔵庫で3時間ソミュール液に漬け込む。
手羽先は、キッチンペーパーで表面の水分を拭き取り、冷蔵庫で90分ソミュール液に漬け込む。
たくあんやチーズなど、そのまま食べても美味しいものはソミュール液に漬け込まず、そのまま燻製してよいそうです。
ポリ袋に食材とソミュール液を入れ、空気を抜いて、口を縛り、冷蔵庫に入れます。そのためソミュール液の量は少しでも食材が全て浸ります。
燻製の作り方
①フライパンにアルミをしく。アルミを輪の形にしリングを作る。
②チップを、大さじ山盛り2〜3杯程度入れる。
③おずリングの上に網を置き、食材を並べる。
④蓋をして火を付ける。(フライパン2個で行う場合は、片方のフライパンのふちの周りをアルミホイルで包み、隙間をなくし密閉できるようにする)
中の様子がわかりやすいガラスの蓋がおすすめ。
⑤食材の色が変わるまで中火の強火で燻す。最初の煙は殺菌効果が強く、酸っぱ味とえぐみがある
⑥食材の色が変わってきたら、火を弱め、弱火の中火で10分程度燻す。煙は時間が経つとキツさが取れ、まろやかな美味しい煙になる。
⑦チップの燃えかすは時間をおいて、冷ましてから捨てる。
続けて違う食材を燻す場合も、一旦、フライパンを洗うこと。
まとめ・感想
講座には、私のような燻製初心者から、今までに自分で燻製をしたことがあるという方も参加しており、燻製経験者の方は「ベーコンを作ったけど、しょっぱくなり過ぎた」と話していました。
難しく失敗の原因になりやすい工程が「塩漬け」「塩抜き」であり、塩漬けには、①すり込み法と②ソミュール法があることから、家庭で簡単燻製講座では、ソミュール法による燻製のやり方を教わりました。
ソミュール法は、塩抜きをしなくてもよく、食材によって漬け込み時間を変えるだけで対応でき、味を全体に染み込ませることができるメリットがあります。
この方法で、様々な食材、野菜、変わり種の燻製にもチャレンジしやすく、下ごしらえをして味付けした食材を持っていき、キャンプ場でのダンボールでの燻製にも応用できます。
試食では、何を食べても全て美味しく感激でした。思っていた以上に手軽に家でも燻製調理ができることがわかり、ぜひチャレンジしたいなとも思いましたが、お店に行けば、もっと簡単に美味しい燻製が食べられるよねって思いました。
燻製専門店オズの店 住所・場所
燻製肉専門 オズ・バル
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