藩政時代からの歴史ある街並みが残る弘前市。「弘前 ~サムライがつくった 弘前の宝とは!?~」#78「弘前」◆初回放送2017年7月8日◆ ブラタモリでタモリさんが歩いた禅林街を尋ねてみました。500メートルも続く杉並木と33の寺院が並木道に連なり「禅林三十三ヶ寺」との通称がある観光名所になっています。
禅林街【長勝寺】津軽家の菩提寺でミイラ発見のニュースも話題になった由緒ある寺院の歴史とは[青森県弘前市]
禅林街(禅林三十三ヶ寺)の歴史とは
弘前城の南西(風水でいう裏鬼門の方角)の要として、弘前藩の二代藩主・津軽信枚が、1610年に長勝寺を種里(現:西津軽郡鯵ヶ沢町)から移したことから始まり、津軽一円の主要寺院を集め、弘前城下の寺町として配されたのが「禅林街」です。
宗教文化の統一を図ろうとしていたことが背景にあり、禅宗の曹洞宗三十三ヵ寺が連なっています。同一宗派によって造られた寺院町は、全国でも類例がなく珍しいのだそうです。
禅林街=出城#ブラタモリ pic.twitter.com/ImK5thK1FM
— 偽ミカワ人 (@nise_3kawan) July 8, 2017
また、禅林街は弘前城の南の弘前台地の際にあり、城下町防衛のための出城(でじろ)の役割も持ってつくられました。戦など非常時には、寺々に兵を置き南側の防衛の砦とされました。
弘前は、城下町全体が敵の攻撃を防ぐように設計されているお陰か、戦乱を一度も経験していません。
茂森町桝形
弘前城から南へ歩くと信号に「禅林街入口」の看板があります。交差点を曲がるとクランクがあり、「茂森町桝形」と呼ばれています。枡形(ますがた)とは、攻めてきた敵の侵入を防ぐために道を直角に曲げた場所のことで、城下町によく見られるそうです。
弘前城出城マップ♪(^o^)/.。o○西南部の守り。土塁、空堀、桝形の遺構あり。寺町防衛ライン形成。 (@ 弘前禅林街 in 弘前市, 青森) http://t.co/0LdisQmJOo pic.twitter.com/m7nfaPZarp
— てらの たびと(寺 旅人) .。o○ファイザーブースター三連発射💉fff(フォルティッシッシモ) (@TERATABIST) September 21, 2015
ここを境に「長勝寺構」されています。長勝寺構とは寺町・禅林街の軍事上の呼び名です。
茂森町桝形を進むと、黒門が現れます。「黒門」は禅林街最奥部に鎮座する津軽家菩提寺・長勝寺の入口を示す総門(表門)で、門の形式は城の桝形虎口一の門によく見られる高麗門形式で、長勝寺構を構成する重要な要素です。弘前市指定有形文化財建造物となっています。
グーグルマップの座標は40.597573,140.459027(2枚目)と40.599612,140.459490で、食い違い虎口も当時もまま残っています。
弘前城の出城構でもある長勝寺(禅林街の一番奥)があるため、作られたそうです。
4枚目の左上に写っている総構が2枚目です。 pic.twitter.com/pwxExgJaSr— ほむほむ (@homuhomu8046) May 3, 2022
栄螺堂(さざえ堂)
俗称は六角堂だけど八角の稜形。まぎら。( ‘ω’) ちな会津のさざえ堂は二重螺旋ですが弘前のは一重螺旋みたい。小さいし。津軽地方には天明天保の大飢饉に由来した史跡が時々存在しますね。興味深い。 pic.twitter.com/Itifcxrqk5
— どら (@rr_classic) January 8, 2020
黒門をくぐってすぐに左手にエンジ色をした栄螺堂(さざえ堂)があります。栄螺堂は、江戸時代後期に全国でも東北から関東地方にかけてのみ造られた堂内が螺旋構造の回廊となっている建築形態の仏堂です。
東北地方では福島県会津若松市の飯盛山さざえ堂と、弘前市の蘭庭院栄螺堂の2つだけしかなく、大変貴重なことから、昭和54(1979)年に弘前市指定有形文化財に指定されています。
この栄螺堂は、天保10(1839)年に天明、天保と大飢饉が続き弘前でも多くの餓死者が発生したため、無縁仏となった死者や、豪商の船の海難事故で命を失った死者の御霊を弔う為、豪商中田嘉兵衛が発願し建立されたとのことで、少し怖いと感じましたが、
螺旋(らせん)状に回りながら上り下りできるようにつくられた堂内に三十三観音や百観音など多くの仏像が安置され階段を昇降するだけで巡礼ができるような構造となっている有難い仏堂でした。
正式名称は「六角堂」ですが、平面が八角形の建物となっていて外観見学は自由。館内の拝観は事前に蘭庭院に連絡が必要です。
蘭庭院(らんていいん)
弘前市西茂森2丁目9−1
電話番号:0172-32-6556
禅林街 杉並木
禅林街の通りには、黒門より500mもの杉並木が奥まで続いていて、禅林街の突き当りには津軽家菩提寺、長勝寺が控えます。
荘厳な雰囲気を醸し出す杉並木ですが、かつては杉の木ではなく、桜の木が植っていたそうです。江戸時代、桜の木の下で宴会を開く人たちが絶えなかったため、ある和尚が桜の木を切らせ、その跡に杉の木を植えたのだとか。今では、貴重な文化財として保存樹林に指定されています。
右に左に佇む寺院にも貴重な歴史や、残すべき意義がある超絶技巧の木彫や装飾、建物があり、弘前は古い物を大切に保存し、その価値や歴史を紡ぐのが上手な街だなと感心しました。
弘前禅林街、お墓参り渋滞。交通規制は茂森桝形交差点で昼前までのみ、お盆、彼岸と年3回はこんな感じ。寺が33もあればむべなるかな。 pic.twitter.com/IXh24Pbzmc
— ヒロキム (@1045_2) August 13, 2017
お盆、お彼岸の時にはお墓参り渋滞となるようですが、普段は静かで趣きのある通りなので、ゆっくり歩いて散策されてみてはいかがでしょうか?とスタバのスタッフさんにもおすすめされた弘前レトロな観光スポットでした。
弘前観光【スターバックス弘前公園前店】文化財を利用したおしゃれ店舗で楽しむレトロと限定グラスとおすすめメニュー[青森県弘前市]
禅林街 アクセス・マップ・駐車場
[所在地] 青森県弘前市西茂森
[アクセス] JR弘前駅からバス約14分、市役所前下車、徒歩約10分/茂森町停下車、徒歩で約5分
[駐車場]長勝寺前に車数台が停められる駐車場スペースがあり、トイレ、自動販売機もありました。