弘前【太宰治まなびの家】無料で見学できる太宰が下宿した旧藤田家住宅[青森県弘前市御幸町]

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太宰治まなびの家は、青森県が生んだ文豪・太宰治が旧制弘前高等学校(現弘前大学)在学中に3年間下宿していた家です。入場無料で見学できます。行った時には翌日のイベント準備のため多くの人がいましたが、みなさん優しく対応してくれ自由に見学させていただきました。

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弘前市指定有形文化財「旧藤田家住宅」

太宰治(津島修治)が官立弘前高校へ通うため下宿していたこの家は、藤田豊三郎氏の住居として大正10年に建築されました。大正時代当時の日本住宅としては新しい様式で建てられた「中廊下型平面」住宅は貴重で、弘前市指定有形文化財「旧藤田家住宅」として、2006(平成18)年に現在の場所に再建され一般公開されています。

太宰治が旧制弘前高等学校(現弘前大学)時代に下宿


官立弘前高等学校では新入生は寮生活が義務づけられていましたが、修治(太宰治)は病弱を理由に入寮せず、親戚の藤田家に下宿します。

在学中の昭和2(1927)年4月から昭和5(1930)年3月までの3年間を2階の奥、出窓付6畳のこの部屋で過ごしたのだそう。実際に使用した机や茶箪笥なども当時のままの配置で残されています。

太宰の着用していた服も飾ってありましたが、仕立てがいいですよね。

太宰治は、1909(明治42)年6月19日に青森県北津軽郡金木村(現・金木町)に、津島源右衛門の六男として生まれました。 津島家は、地元で有数の大地主で金貸業を営み、地元で津島源右衛門は「金木の殿様」と呼ばれていたほど裕福でした。(太宰治は、大金持ちのお坊ちゃんだったんですね)

ふすま一枚で仕切られた隣の部屋は、当時中学生だった藤田家の長男・本太郎さんが使用していました。太宰治から小説を読んで聞かせてもらったり、麻雀やチェスをして親交を深め、仲良くしていたのだそうです。

本太郎さんが、昭和3年にカメラを買ってもらうと、太宰を被写体にしてたくさん写真を撮ったようで、芥川 龍之介を真似たポーズの太宰や、リラックスした普段顔の太宰の様子など、貴重な写真が飾られていました。

弘前高校時代の太宰治

本太郎さんの残した手記には、修治は弘高1年の半ば頃から義太夫に熱中し近くのお師匠さんのところに稽古に行くようになり、一時はかなり打ち込んでいたが、その割にレパートリーは少なく、義太夫を習った目的がどこにあったかについては、私にはわからないと書かれており・・・太宰治の小説「津軽」にも、本人が「どうしてそんな、がらにも無い奇怪な事をはじめたのか」と書いてあるので、個人的にはツボりました。

「…私は、この弘前の城下に三年ゐたのである。弘前高等学校の文科に三年ゐたのであるが、その頃、私は大いに義太夫に凝つてゐた。甚だ異様なものであつた。学校からの帰りには、義太夫の女師匠の家へ立寄つて、さいしよは朝顔日記であつたらうか、何が何やら、いまはことごとく忘れてしまつたけれども、野崎村、壺坂、それから紙治など一とほり当時は覚え込んでゐたのである。どうしてそんな、がらにも無い奇怪な事をはじめたのか。私はその責任の全部を、この弘前市に負はせようとは思はないが、しかし、その責任の一斑は弘前市に引受けていただきたいと思つてゐる。義太夫が、不思議にさかんなまちなのである。ときどき素人の義太夫発表会が、まちの劇場でひらかれる。私も、いちど聞きに行つたが、まちの旦那たちが、ちやんと裃を着て、真面目に義太夫を唸つてゐる。いづれもあまり、上手ではなかつたが、少しも気障なところが無く、頗る良心的な語り方で、大真面目に唸つてゐる。…」

出典:太宰治の「津軽 五 西海岸」より

他にも、本太郎さんの手記には、秋頃から、青森市の花柳界に出入りするようになり、毎週、土曜の放課後に行き、一泊して帰宅するのがきまりで、学費・下宿代として藤田家に送金された中からお金を引出し、1回30円くらい使っていたとも書かれています。毎週行くと月に100円くらいの金がかかり、小学校教員の初任給が月50円くらいの時代に、一高校生としては分に過ぎた散財であったこと、ここで最初の妻(未入籍)となる芸者の紅子(小山初代)と出会ったことも書いてありました。

太宰は、尊敬する芥川龍之介が自殺したことに大きな衝撃を受けた様子であった。2年生になり同人誌を発行してから成績は下がる一方で、弟・礼治の急逝などもあり、3年目の12月に太宰自身も睡眠薬による第一回目の自殺未遂を起こすなど、弘高時代の3年間には、その後の太宰の人生と同じ軌跡を見ることができました。

公式サイト・SNS

ホームページ:太宰治まなびの家(旧藤田家住宅)
X:太宰治まなびの家(@manabinoie)
Facebook:太宰治まなびの家
Instagram:太宰治まなびの家(@dazaiosamu_manabinoie

太宰治まなびの家アクセス・駐車場・開館時間


【住所】 青森県弘前市御幸町9-35
【駐車場】駐車可能台数4台
【アクセス】
・JR弘前駅より徒歩20分
・弘南鉄道大鰐線弘高下駅より徒歩15分
・弘南バス小栗山線ほか弘前在学前下車で徒歩10分
・大鰐弘前ICより車15分
【休館日】12月29日~1月3日
【開館時間】10:00 〜16:00
【入館料】入館無料

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