禅林街【長勝寺】津軽家の菩提寺でミイラ発見のニュースも話題になった由緒ある寺院の歴史とは[青森県弘前市]

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弘前市西茂森の禅林街に続く杉並木の突き当りにある「長勝寺」を見学してきました。弘前藩主の津軽家と縁が深く、弘前城の裏鬼門の鎮護を担う長勝寺の境内には、9棟の重要文化財が残ります。

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禅林街・長勝寺の歴史

禅林街は、33もの寺院が並木道に連なり「禅林三十三ヶ寺」の通称がある観光名所になっています。その中で最も大きな寺院が曹洞宗の津軽家最初の菩提寺「長勝寺」です。

弘前観光【禅林街】ブラタモリ的まちあるき!城下町に禅林三十三ヶ寺と杉並木の歴史とは?[青森県弘前市西茂森]

ちなみに仏教では、33は聖数とされていて、 観音菩薩が時と場に応じて姿を変えて衆生を救いにやってくる時の姿が33あるのだそうです。

さて、長勝寺は享禄元(1528)年に戦国時代の武将 大浦盛信が父・光信の菩提を弔うため、菊仙梵寿を開山として、現在の西津軽郡鰺ヶ沢町種里町に創建されたのが始まりと伝えられています。その後、賀田大浦(現・弘前市賀田字大浦)に移され、大浦氏が堀越城(弘前市堀越)に移るにあたり共に移転し、慶長15(1610)年に2代藩主津軽信枚が、弘前城築城の際に現在の地へ移転しました。

長勝寺は、弘前城の裏鬼門鎮護の役割を持つだけでなく、長勝寺を中心に配置された禅林街全体が、弘前城の防衛線として整備され出城的機能を持っています。

奈良の大仏とほぼ同じ約16メートルの高さがある「三門」が存在感を放ちます。寛永6(1629)年、津軽信枚により建立されたもので、昭和11(1936)年に国指定重要文化財に指定されています。門には金剛力士像が睨みを利かせており、修行の妨げになる心身の汚れを脱する門と言われているそうです。

長勝寺境内には多くの建物や寺宝が残されていて、本堂と庫裏は、慶長年間(1596~1614)に建立されたと伝えられます。本堂は曹洞宗の本堂建築としては全国的にも最古級のものです。庫裏は大浦城の台所を移築したものと云われている建物で、どちらも平成5(1993)年に国指定重要文化財に指定されています。

三門を入ってすぐ右手には「嘉元の鐘」と呼ばれる銅鐘があり、これは青森県内で一番古い銅鐘です。

嘉元4(1306)年と刻まれていることから、この銅鐘の寄進の大旦那は鎌倉幕府第9代執権の北条貞時とされています。嘉元の鐘の存在は、鎌倉時代の津軽と鎌倉幕府とのつながりを示す貴重なものです。

三門を入って左奥には曹洞宗の様式で葬られた津軽一族の霊屋が5棟一線に並ぶ、津軽家霊廟があります。その他にも初代藩主為信の木彫を安置する御影堂など多くの文化財に囲まれています。素朴ながらも格式を感じさせる佇まいです。

長勝寺の基本情報と読み方

長勝寺の読み方は【ちょうしょうじ】
青森県弘前市にある曹洞宗の寺院。
山号は太平山。本尊は釈迦如来。

[文化財] 三門、御影堂、本堂・庫裏、津軽家霊屋、銅鐘(国の重要文化財)
三尊仏・厨子、薬師如来三門本尊、津軽為信木像(県重宝)

[御朱印] 有り

三門の先にある本堂には、右手の庫裏から入る造りになっています。

御朱印をお願いする場合は、鈴を鳴らすよう案内書きがありました。

庫裏を経由して本堂へ向かい、参拝してきました。

庫裏の向かいには蒼龍窟があります。中にある仏像群には圧倒されます。これらは慶応4(1868)年に明治政府より神仏分離が命じられ、岩木山神社より移ってきたり、遺棄されていたものを拾ったものがここに安置されているそうです。

岩木山三所権現の仏像は、阿弥陀如来像を中央に、左が薬師如来像、右が土台で薬師如来像。弘前から見て左が低い岩木山に三尊を見立ててわざと十一面観音像も少し低くしてあったそうです。

長勝寺の御朱印

「釈迦如来」は、仏様の代表格であり、日本では親しみをこめて「お釈迦さま」と呼ばれています。
仏様の中でも、唯一実在した仏様と言われてます。悟りを開かせることが釈迦如来のご利益であり、人々を悟りに導いてくれるために勇気と安心を与えてくれるといわれています。

長勝寺のミイラ?!

さて、長勝寺のことを調べていると「長勝寺の墓地移転工事で津軽承祐のミイラが発見され、世間を驚かせる」ミイラ騒動(陸奥新報)というニュースがあったことを知りました。

1954年、長勝寺の墓地が移転することとなり調査や工事が行われた際、墓地の地下7メートルの場所から茶殻が敷き詰められた棺に土葬された遺体が発見されます。遺体は腐敗を免れミイラ化した死蝋の状態だったため、発見者を驚かせます。

遺体は1855年に18歳で亡くなった津軽承祐のものと判明しました。発掘後空気に触れたためか徐々に腐敗が始まったため、永久保存処理を施して1995年まで長勝寺に安置されていましたが、津軽家の要望で遺体は火葬され墓地に収められました。

現在は承祐公のミイラの写真と、かつて収められていた棺を見ることができるそうです。

禅林街・長勝寺へ弘前駅からアクセス・住所

長勝寺は、津軽藩の歴史と先人たちが守ってきた重要な文化財の魅力を感じられる場所でした。

[住所]青森県弘前市西茂森1-23-8
[電話番号]0172-32-0813
[アクセス]JR弘前駅から弘南バス「川原平・田代・大秋・相馬線」茂森町下車・徒歩10分
[開館時間]9:00~16:00
[料金]拝観料300円(長勝寺庫裏・本堂・津軽家霊廟)※要申し込み。12月〜3月非公開

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