重要文化財【旧弘前偕行社】弘前市の歴史や文化を語るルネサンス風様式建築物[青森県弘前市御幸町]

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青森県弘前市御幸町【太宰治まなびの家】の近くに旧弘前偕行社はあります。旧弘前偕行社は観光スポットとしても知られ、外観、内部ともに一般公開されています。津軽を代表する棟梁が建築し、建築意匠や歴史を伝える貴重な建物です。

弘前市では、明治時代や大正時代の建造物を修復し、現在も利用することによって大切にしている建物が数多くあるのが本当に素晴らしいなと思います。

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旧弘前偕行社とは

偕行社(かいこうしゃ)とは、旧陸軍の将校用厚生施設で、将校たちが集まり、交流したり、教育や娯楽活動を行う社交クラブとして全国各地の駐屯地に設けられた施設です。海外も含め60箇所以上も設置されましたが、現在は国内に6箇所が残るだけになっています。そのうちの一つが、旧弘前偕行社です。

弘前の偕行社は、日清戦争終了後、陸軍第八師団司令部が弘前に設置されたことに伴い、弘前藩9代藩主津軽 寧親(つがる やすちか)の別邸があった九十九森跡に明治40(1907)年に建設された洋風建築です。

重要文化財「旧弘前偕行社」の歴史

旧陸軍第八師団の将校の社交場や厚生施設などとして使われていましたが、戦後は地域医療・福祉分野の先駆者であった、鳴海康仲氏の創設理念に基づき、弘前厚生学院の校舎や保育園舎として利用されることとなりました。保育舎はとしては、昭和55年まで使われていたそうです。

その後、「東北地方に現存する数少ない陸軍師団関係施設の代表的遺構であるだけでなく、陸軍省営繕組織による建築意匠の展開を示すものとして貴重である」として、平成13(2001)年に重要文化財の指定されています。

2013年から改修工事を行い、明治期の建築当時の姿に復元され、現在では弘前市が引き継ぎ、地域のまちづくりや観光資源、コミュニティスペースとして活用されています。

ルネサンス様式を基調とした明治の洋風建築

敷地内のお庭にはソメイヨシノの古木があり、桜の名所でもあるそうです。

幅49mの木造平屋建てで、イタリア・ルネサンス様式のデザインを基調とした洋風建築は、赤い屋根と緑の窓枠の色合いもおしゃれです。装飾があらゆるところにほどこされています。

ポーチ付玄関の上にある旧陸軍第八師団の「八」の字にちなんだ唐草模様に仕上げられた「蜂」の鉄製飾りがまず見どころだそうです。シャレがきいてますよね。

屋根窓、窓廻りの飾り枠などの装飾が素敵です。明治時代の名棟梁として知られる堀江佐吉氏が手がけました。

窓ガラスまでめっちゃかわいい!!と思ったら、こちらは2021年に開催されたデザインマスキングテープ展「mt博」の時にマスキングテープデザインの紙を貼って装飾されたものだそうです。建物の雰囲気にバッチリあっていますよね!

旧弘前偕行社の外観も館内もレトロな雰囲気満載で、弘前を舞台にした漫画「ふらいんぐうぃっち」に登場し、聖地にもなっていますよね。

内部は当時の将校たちの社交の様子を垣間見ることができる洗練された装飾が残されており、地域の歴史に関する資料が展示されているのだそうです。

弘前出身の名棟梁堀江佐吉

堀江佐吉(ほりえ さきち)氏は弘前市出身の人物で、弘前藩のお抱え大工でした。北海道での公共工事等に携わり洋風建築に出会い、その後独自に洋風建築の研究に没頭し和風建築の技法によりつつも最新技術を吸収し、1500棟を超える建造物を手掛けました。だから、弘前には華麗な洋風建築物が多いんですね!

旧第五十九銀行本店本館や旧弘前図書館などが残っており、旧弘前偕行社もその一つです。佐吉の長男彦三郎、六男金蔵が棟梁として現場を仕切りましたが、建築中に病没したため弘前偕行社は佐吉が関わった最後の建物となってしまったそうです。

佐吉亡き後も、技能は子孫や多くの弟子たちに引き継がれ、旧第八師団長官舎、藤田家別邸洋館、翠明荘などの建物が弘前の街に残されていて、旧第八師団長官舎は、現在はスターバックスコーヒー弘前公園前店として活用されていますよね。

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旧弘前偕行社の公式サイト・入館料・営業時間

【開館時間】9:00〜16:00

【一般見学(ガイド無)入館料】
一般(高校生以上) 300円
小・中学生    100円

要予約のガイドツアーが1日1回、正午から実施されています。

【ガイド付き見学(要予約)】
見学をご希望の方は、見学日の3日前までにお電話にてご予約ください。
1日1回12:00~(所要時間約40分/定員20名様迄)
ガイド付き見学料/500円

開館時間、入館料などの最新情報は、公式サイトを参照してください。

旧弘前偕行社場所・アクセス・休館日

【住所】青森県弘前市御幸町8−10
【アクセス】JR弘前駅より徒歩約20分・弘南鉄道 弘高下駅より徒歩約10分
【電話番号】0172-33-0588
【休館日】 毎週火曜日、8/12〜8/15、年末年始

掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性があります。

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