最勝院五重塔から弘前れんが倉庫美術館あたりに向かって歩いていると、木造の小屋に守られるように水槽があり水汲み場となっていました。弘前市にはいくつもの湧水があり、その中で最も有名なのがこの「富田の清水(しつこ)」だそうです。富田の清水の歴史や飲める水なのか?ご紹介します。
富田の清水(とみたのしつこ)
弘前市内を散策していると紙漉町の住宅街の中に突如、小屋が現れました。弘前市は豊富な水に恵まれた地域で、湧水が豊富な周辺一帯にはかつて数十か所もこのような施設があったそうです。現在は、この「富田の清水」と、ここから徒歩1分ほどのところにある「御膳水」が、希少な湧水の取水場として残されているそうです。
「とみたのしみず?きよみず?」と読み方がわからなかったのですが、正しくは【とみたのしつこ】と読み、「しつこ」とは津軽弁で湧き水の意味です。
「富田の清水」の由来・歴史
富田の清水は、1686(貞享3)年頃にはじめて製紙法が導入した際に、第4代弘前藩主であった津軽信政が命じ、和紙職人の熊谷吉兵衛を招いたことが始まりだと言われています。古くからこの地域には湧水があり、紙漉きに適しているということで熊谷吉兵衛が紙漉き法を伝える際にこの清水を利用したことで、名水として有名になりました。湧水のあった土地の旧名が「富田村」であったことから、「富田の清水」と呼ばれるようになりましたが、町名は紙漉き技術が広まったことから「紙漉町」へと変わり、現在もその町名が使われています。富田の名前は清水として残り、江戸時代に始まった紙漉き法の和紙製産は昭和初期まで200年以上に渡って続きました。
今日のこころの風景は、青森県弘前市の「富田の清水(シツコ)“御膳水”」。
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(火野正平さんが自転車に乗って全国を旅する「にっぽん縦断こころ旅 とうちゃこ 1104日目」にて富田の清水に訪れているんですね)
伝統技術・紙漉きへの水としての役割を終えた後も生活用水として地域の人々に利用され、現在も保全が行われています。
富田の清水の使用上の注意点
小屋の中には6つの水槽が並び、出水口から順に1、2番目が飲料水、3番目は洗顔や、野菜・米などを洗うために使う生活用水、4番目はかつての紙漉き用の水、5、6番目は足洗いや洗濯物をすすぐための水と使い方が決められています。
現在に至るまで、それぞれの水槽の使い方は地域の方々によって大切に守られています。日中はポリタンクやヤカンを持って出入りし、水を汲みにくる方がいらっしゃるようです。
富田の清水の湧水は飲める?
1番目の水槽には、どうぞ飲んでくださいと言うように親切にコップと柄杓が置かれています。(が、訪問時は飲める水かわからなかったので飲まなかったんですよね)
1日で約144,000ℓもの水が湧き出ているという富田の清水の水質は清涼に保ち続けられいます。市による週1回の清掃、月1回の水質検査などが定期的に行われ、そのままでも飲用可能な真水に近い超軟水です。ミネラル含有量は少なめで、胃腸の弱い方は持ち帰り煮沸してから飲むのがおすすめのようです。
富田の清水とうちゃこ、、こんな所かぁ、、へぇ、、 #こころ旅 1104日目・青森県弘前市 pic.twitter.com/APjix019Ks
— にわとまと (@snowcat5201) June 28, 2022
「にっぽん縦断こころ旅 」の番組内でも火野正平さんが富田の清水に訪れ、美味しそうに水を飲んでらっしゃいましたね。スッキリした味わいのおいしい水だそうです。
ちなみにですが、岩木山から流れる石木川から採取される弘前市の水道水も美味しいと評判ですものね〜
きょうのハッピィの生中継は平川市の甘味処マヴィから🍧
暑い夏に嬉しいかき氷を始め、体が喜ぶスイーツをたっぷりとお伝えしました🥰
かき氷は弘前市の名水として知られる富田の清水(とみたのしつこ)を使っています✨
スッととろける食感がたまりませんでしたよ🥰
写真は1番人気のいちごみるくです🍓 pic.twitter.com/wuBHGNFe4z— 澤田愛美 (@amy__oxox) August 15, 2020
富田の清水の水をかき氷として提供している青森県内の甘味処もあるんですね。食べても全然頭キーンってならないようですよ!
クチコミでも「美味しい」と評判の富田の清水ですが、商品化はされていませんので、実際に現地に訪れた時には、ぜひ飲んでみたいですよね。
「名水百選」に選定の湧水
富田の清水は、1985(昭和60)年に環境省(当時環境庁)が、清澄な水であるとして、全国各地100ヵ所の湧水や河川を国指定の「名水百選」に選定した中に選ばれています。
青森県で名水百選に選べれたのは2ヶ所あり、もう一ヶ所は平川市の渾神の清水です。富田の清水は、青森県内でも貴重な名水の一つなんですね!
「御前水」とは?
さて、富田の清水から徒歩1分くらいの場所にも湧き水があり、こちらはのが『御膳水』と呼ばれています。
【ひろさき写真遺産#58】比較シリーズ「富田御前水」
富田大通りの花屋の角から文化幼稚園へ向かうと、程なく右手に伸びる丁字路
この先は、住吉神社、中央病院、れんが倉庫美術館を経て中央駅へ通じ、かつては途中に保健所も
道幅の割に、ここ通る車、結構多いんですよね、昔から#弘前#レトロ写真 pic.twitter.com/FmdFsHaAxM— 弘前市立中央公民館 (@hirosakikoumin) July 29, 2020
明治14年明治天皇東北巡幸された際に、この湧水をお茶や料理に使ったことから『御膳水』と命名されました。
昭和61年には青森県の【私たちの名水】に選ばれた綺麗な湧水ですが、飲用には適していないとのこと。すぐそばの稲荷神社の手水ともなっていますが、現在は枯渇しかかっているのだそうです。
富田の清水と場所も近く紛らわしいため、観光客の方が間違えて訪問してしまう場合もあるようなでご注意ください。
富田の清水 場所・アクセス・地図
青森県弘前市紙漉町5−2
お問い合わせ 0172-35-1111(弘前市役所)
駐車場なし
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